牧原憲夫 岩波書店 2006.12.20
はじめに
「国会設立の好機会」
紀尾井町事件
制度の時代
政府・民権・民衆
二つの自由
「文明的」と「日本的」
第1章 自由民権運動と民衆
1.竹橋事件と立志社建白書
「苛政に苦む」
軍人訓戒
立志社建白書
2.県議会から国会開設へ
地方三新法
人民の名代
結社と新聞
請願・建白の波
「綸言汗の如し」
請願から憲法へ
3.国民主義の両義性
「国是」への確信
客分意識
徴兵逃れ
国民としての権利
演説会の熱狂
異質なもののスパーク
民衆・民権派・政府の三極構造
第2章 「憲法と議会」をめぐる攻防
1.対立と混迷
未熟な天皇
天皇親政運動
外債募集か地租米納か
2.明治一四年政変
元老院の憲法草案
民権派の憲法構想
大隈意見書の衝撃
開拓使払下げ問題
大隈派の追放
軍人勅諭
3.自由民権運動の浸透と衰退
自由党と立憲改進党
地方政治の活性化
三島県政と住民の反発
政党運動の衰退
第3章 自由主義経済と民衆の生活
1.松方財政と産業の発展
インフレの影響
デフレ政策のターゲット
殖産政策の転換
さまざまな工夫
試行錯誤
2.強者の自由と「仁政」要求
不徳の者
借金党
秩父事件
スパークとしての「板垣公の世直し」
地方地主制の確立
3.合理主義の二面性
経済合理性の非合理
迷信と科学
コレラ騒動
養生から衛生へ
勤勉と自律の時代
第4章 内国植民地と「脱亜」への道
1.「文明」と「囲い込み」の論理
「脱亜論」
「文明国」宣言
内国植民地
アイヌ民族の「国民」化
囚人労働
開拓政策の転換
2.琉球王朝の併合
両属関係の否定
旧慣温存政策
同化と差別
3.朝鮮・中国と日本
壬午事件の衝撃
民権派の対朝鮮論
甲申政変
束の間の平穏
てんびん棒帝国主義
「強盗国」批判
大阪事件と「連帯」の論理
第5章 学校教育と家族
1.1880年代の学校教育
さまざまな小学校
教育令と教学大旨
中等教育の未確立
2.森有礼の国民主義教育
学校体制の整備
「試験」の時代
学歴主義のはじまり
制服と体操
ナショナル・ミュージック
斉唱というスタイル
二つの国家主義
3.近代家族と女性
「女に学問はいらない」
未来の国民を育てる
良妻賢母と「家庭」の登場
明治民法と「家」制度
「家」と「家庭」の複合
「愛情家族」のしがらみ
第6章 近代天皇制の成立
1.近代的国家機構の整備
「アクチュワルのポリチックス」
宮中・府中の分離と家族令
内閣制度の創設
条約改正問題
民権派の再攻勢
保安条例
市制・町村制
「四将軍」派との対立
山県の陸軍掌握
2.民衆と天皇
天皇を見せる、天皇に見せる
負担と実利
見物対象と「生き神」
「万世一系」の創出
二つの都、二つの神社
皇后の登場
皇室典範と女帝問題
3.帝国憲法体制の成立
天皇主権と立憲主義の複合
補佐機関の競合と調整
「万歳」の誕生
国民統合の四点セット
臣民としての国民
おわりに
「囲い込み」と「欲望の喚起」
議会という場
国民国家と競争社会のなかで