プラトンの反二元論的世界像 瀬口昌久 京都大学学術出版会 2002.12.10

序章 心身問題前哨

 1 身体と欲望、感性
 2 感覚(身体)と思惟
 3 想起説における感覚の位置
 4 生と動の原理

第?部
第1章 魂と国家

 1 2つのパラドクス
 2 国家と市民の関係
 3 プラトン的正義
 4 第三の階層と欲望的人間
 5 ピュシスノ差異
 6 国家と身体のアナロジー
 7 ピュシスノ差異と正義論
 8 アリストテレスの批判の検討
 9 パラドクスの行方
 11 アナロジーの意図

第2章 性・身体・国家

 1 議論の構造と解釈の問題点
 2 男の「優位性」と女の「弱さ」
 3 パラドクスを支える思想基盤
 4 『法律』第六巻との比較

第3章 身体の解放と知の解放

 1 ニーチェディオニソス賛美とソクラテス批判
 2 フェミニズムディオニュソス
 3 プラトンディオニュソス(1)『法律』
 3 プラトンディオニュソス(2)『饗宴』

第?部 魂・イデア・場
第1章物体主義と形相主義への批判

 1 パラドクスの提示
 2 イデアに変化を認める解釈(前提?の批判)
 3 受動と変化の不一致を主張する解釈(前提?の否定)
 4 知の能動性を否定する解釈(前提?の否定)
 5 『テアイテトス』の知覚論(155E-157D)との比較
 6 存在と力

第2章 物、空間、場

 1 「場」の理論の提示
 2 アリストテレスの解釈と問題点
 3 伝統的解釈とチャーニスの解釈
 4 チャーニス以降の諸解釈への批判
 5 解釈の方向と展望

第3章 古代アトミズムの心身論との比較

 1 エピクロスからルクレティウスへ-σπε'ρμαとsemina
 2 「魂」論の差異
 3 名前のないアトム
 4 アトミズムの生命論の到達点と問題
 5 プラトンのプシューケー論との対比

第4章 アトム、空虚、力

    • アトムの不可分割性と衝突の不可能性

 1 問題の所在
 2「接触」についての異なる理解
 3 遠隔作用の可能性

第5章 身体から魂へ

 1 『ティマイオス』における知覚の物理的構造と心理的構造
  知覚の物理的過程
  知覚の心理的過程
 2 ブリソンの診断
 3 ミラーの反論
 4 世界霊魂の組成(『ティマイオス』35A)の解釈
 5 場の役割
 6 『法律』(898E8-899A4)における天体の運行と魂の働き

第?部
第1章 コスモスの回復

    • プラトン『クリティアス』における自然環境荒廃の原因

 1 自然の荒廃と人間の営み
 2 大洪水物語
 3 プラトン批判とプラトンの自然像

第2章 魂の配慮と身体の配慮

 1 哲学と医学の境界線
 2 プルタルコスの養生法
 3 養生法を支える思想基盤
 身体の自然本性/ピュシス(φυ'σιξ)の尊重
 魂と身体の相互作用
 市民的徳のための健康

第3章 身体の言葉と魂の言葉

    • プラトン『国家』における三段階模倣説と線分の比喩

 1 パラドクスへの三つの立場
 2 ギャロップの解釈
 3 対話篇とディアノイア
 4 対話篇とディアレクティケー
 5 要請される詩のあり方
 6 アリストテレスプラトンの詩論
  認識論的観点からの批判
  心理学的観点からの批判
  政治的観点からの批判

第4章 徳と技術

 1 諸解釈の傾向
 2 アーウィンの解釈(SAT非連続論者の解釈その1)
 3 ヴラストスの批判(非SAT論者の反論)
 4 テクネーと価値中立性(SAT非連続論者の解釈その2)
 5 予想される反論
 6 テクネーと想起説(SAT非連続論者の解釈その3)

第5章 身体としての文化、魂としての哲学

    • 文化における哲学の位置

 1 テクネーとしての知とソフィスト批判
 2 文芸への批判
 3 テクネーの知と哲学の知
 4 パイデイアーの導き手としての哲学

終章 反二元論的世界観の探求