自分と向き合う「いのち」の思想 森岡正博 トランスビュー 2005

はじめに
1いのちのとらえ方
 死を前にして起こること。
 こころの問題
 誰も教えてはくれない。
 医療って何?
 医療の外側の問い
 正解はない

2「条件付きの愛」をどう考えるか
 生きる意味がわからない
 目隠し装置としての宗教と国家
 「癒し」の意味
 存在肯定への飢餓
 「条件付きの愛」
 「やさしさの愛」のからくり
 システムとの共犯関係
 生命を選別するアイデンティティの壁
 自分の知らない深層アイデンティティ

3共感的管理からの脱出刃
 パターナリズムとは
 母性による管理
 家庭内暴力を起こすもの
 調教された子どもの内面
 大衆化された「アダルトチルドレン論」
 援助と共感の落とし穴
 ベトナム帰還兵の聖地
 拒絶の記念碑

4無痛化する杜会のゆくえ
 「無痛化」とは何か
 よろこびの喪失
 ICUで眠る人
 無痛化を支えるテクノロジー
 巨大な問題

5無痛文明と「ひきこもり」
 自分が崩れ落ちた後で
 対人恐怖を克服する技
 捨て身で腹を割る
 処方簑はない

6生命学はなぜ必要か
 「他者」とは
 「他者」の力
 価値観の変容
 知恵の次元
 予防医学
 パーソン論の考え方

7「死者」のいのちとの対語
 宗教と科学の問で
 「脳死の人」
 脳死論議の落とし穴
 科学では片づけられない
 二人称の死
 死の人との対話
 「死者」の持っているいのち
 間身体性が支える
 二つのリアリティ
 日本の議論はなぜ最先端なのか
 できなかった脳死判定
 中絶をめぐって
 胎児は人か
 女に殺人をさせるもの

8「無力化」と戦うために
 通説の嘘
 経済的理由と胎児条項
 視線が人を殺す
 「自己否定」の問題
 「無力化」というキーワード
 優生思想と優生学
 一九七〇年代の優生学
 二十一世紀の新優生学
 社会全体の無力化
 何もしないことを選ぶ知恵

むすび 自分と向きあう「いのち」の思想